
施術を受けていただく前に、僕がお伝えしていることの一つに「サニング」があります。
僕がここでサニングと呼んでいるのは、とてもシンプルなものです。
目を閉じて太陽の方向を向き、光や温かさを感じること。
サニングは施術を受ける前だけでなく、施術後にもおすすめしています。
そして、もちろん施術を受けない方でもできます。
僕自身、太陽の光を浴びながら身体の感覚に意識を向けていると、身体が温まり、呼吸がゆっくりになって、「今ここ」に戻ってくるような感覚があります。
特別な道具も、お金も必要ありません。
太陽は毎日のように、僕たちの上にあります。
ぜひ、自分の身体が心地よいと感じる範囲で試してみてください。
なぜ太陽の光を浴びるのか
植物は太陽の光を受け取り、光合成によって成長に必要なエネルギーをつくっています。
人間は植物のように光合成をするわけではありませんが、僕たちの身体にとっても太陽光は大切な存在です。
例えば、皮膚に紫外線B(UVB)が当たることで、身体ではビタミンDがつくられます。
ビタミンDは骨の健康などに関わる重要な栄養素です。
また、朝から日中に光を浴びることは、僕たちの体内時計を整えるための大切な刺激になります。

これが体内時計のリズムを整えてくれます。
一番理想はカーテンに頼らず、朝日と共に目覚めることですが、それができる環境にいる方もいればそうでない方もいます。
ですから、できる範囲でやってみるのがいいかと思います。
夜になると眠りに関係するメラトニンが分泌されますが、そのリズムにも日中に受け取る「光」が関係しています。
つまり、僕たちの身体はもともと、
明るくなったら活動し、暗くなったら休む。
そんな自然のリズムとともに生きてきました。
現代人は太陽から離れている
昔であれば、日が出ている時間に外へ出て、自然に太陽の光を浴びることは珍しいことではなかったと思います。
しかし現代では、朝から電車に乗り、ビルや地下で仕事をして、夕方になって外へ出る。
家の中で一日を過ごすこともあります。
街はコンクリートに囲まれ、さらに「できるだけ日焼けをしない」「肌を白く保ちたい」という美意識もあります。
もちろん紫外線を浴びすぎる必要はありませんし、紫外線による皮膚や目への影響には注意が必要です。
ただ僕は、太陽を完全に避けてしまうのではなく、
自分が心地よいと思える範囲で、自然の光に触れる時間をつくることも大切なのではないか
と感じています。
そこで僕が行っているのが、これから紹介するサニングです。



サニングのやり方
まず、自分が「ここにいると気持ちいいな」と感じる場所を探してみてください。
できれば窓越しではなく外がおすすめです。



公園でも、神社でも、海辺でも、自然の中でも構いません。
姿勢にも正解はありません。
立ってもいい。
座ってもいい。
横になってもいい。
背筋をピンッと伸ばす必要もありません。
自分の身体が一番疲れない、楽だと感じる姿勢を選んでください。
1.目を閉じて、太陽の光と温かさを感じる
太陽の方向を向き、目を閉じたまま光と温かさを感じてみます。
目を閉じたまま、眼球をゆっくり左右、上下へ動かしてみます。
そのとき、
- 「ここは少し冷たいな」
- 「ここだけ暗い感じがする」
- 「なんとなくモヤモヤする」
そんな場所があれば、そこで少し止まります。
そして、太陽の温かさを感じてみてください。



何も感じなくても大丈夫です。
そのまま目を動かしてもいいですし、気持ちのいい場所で止めても構いません。
何かを感じようと頑張らないこと。
これが大切です。
2.太陽の温かさが背骨を通っていくのを感じる
次は、太陽の光と温かさが目の奥へ入り、首の付け根あたりまで届いていくような感覚に意識を向けます。
そこから、
頸椎。
胸椎。
腰椎。
そして仙骨へ。
背骨に沿って、温かさがゆっくり下へ流れていくように感じてみてください。


これは身体の中を実際に太陽光が通っているという意味ではありません。
身体感覚に意識を向けるためのイメージワークです。
何も感じない場合は、太陽の光が背骨をゆっくり通っているところを想像するだけでも大丈夫です。
頑張って感じる必要はありません。
3.背骨から身体全体へ温かさを広げる
背骨の周囲には、身体のさまざまな場所へ情報を伝える神経があります。
今度は背骨まで届いた温かさが、そこから身体の外側へ向かって少しずつ広がっていくところをイメージします。
背中。
胸。
お腹。
肩。
腕。
手。
骨盤。
脚。
そして皮膚へ。





太陽の温かさが身体全体へ染み込んでいくように感じてみてください。
難しければ、すべてイメージで大丈夫です。
しばらく続けていると、身体が少しずつポカポカしてくることがあります。
その温かさをただ感じます。
4.ゆっくり目を開けて、世界を見る
最後に、ゆっくり目を開けます。
そして周りを見てみてください。


空でもいい。
木でもいい。
葉っぱでもいい。
海でもいい。
目の前にある風景全体でも構いません。
僕の場合、サニングをしたあとに目を開けると、
「さっきより景色が鮮明に見える」
「色の感じ方が少し違う」
「身体が温かい」
「なんとなく世界が静かに見える」
そんな変化を感じることがあります。
もちろん、感じ方は人それぞれです。
何も変わらなくても問題ありません。
その中で、
「なんかいいな」 「きれいだな」 「ホッとするな」 「ここにいると安心するな」
と思えるものを一つ見つけてみてください。
そして、それをただ眺めます。
どのくらいやればいい?
僕が普段行っていると、だいたい3〜4分くらいになることが多いです。
ただし、時間を測る必要はありません。
むしろ僕は、時計を見ないことをおすすめしています。
「あと何分だろう?」
と考え始めると、意識が身体から時計へ戻ってしまうからです。
最初は数十秒でも構いません。
大切なのは長さではありません。
「気持ちいい」と感じていること。
そして、その気持ちよさをちゃんと感じることです。
僕自身は一日に1〜3回ほど取り入れることがありますが、回数にも正解はありません。体調が悪いときほど回数を増やす、というよりも、その日の体調や日差しの強さを見ながら、無理のない範囲で行ってください。
一番大切なのは「今ここ」を感じること
僕がサニングで一番大切にしているのは、
太陽から何かを得ようとすることではありません。
ただ、温かい。
気持ちいい。
風が吹いている。
鳥が鳴いている。
身体がここにある。
呼吸をしている。
そんな当たり前のことを感じる時間です。
僕たちは普段、頭の中で過去へ行ったり、未来へ行ったりしています。
仕事のこと。
人間関係のこと。
お金のこと。
明日のこと。
昨日のこと。
でも身体はいつだって「今」にあります。
だから太陽の下で目を閉じて、
「今、自分はここにいる」
ということを感じてみてください。
毎日続けていると、身体や心の小さな変化にも気づきやすくなるかもしれません。
太陽は無料で僕たちを照らしている
サニングの何が素晴らしいのか。
僕は、
無料でできること
だと思っています。
特別な機械はいりません。
高価な道具もいりません。
太陽は昔からずっと、植物にも、動物にも、人間にも光を届けています。
僕は施術をする人間ですが、何でも施術者が何とかしなければいけないとは思っていません。
自然の中には、僕たちが身体を整えるために使えるものがたくさんあります。
太陽。風。水。土。木々。
そして呼吸。
僕の施術も、身体を無理やり変えるというより、
その人の身体が本来持っている「ゆるむ力」を邪魔しないこと
を大切にしています。
サニングも僕にとっては、その延長線上にあります。
自然からいただけるものを、もう一度生活の中に取り戻してみる。
まずは晴れた日に外へ出て、目を閉じてみてください。
何かを頑張って変えようとせず、
ただ太陽の温かさを感じる。
そして、
「今ここにいる」
ということを感じてみてください。
太陽が出ていない日は
曇りや雨の日は、無理にサニングをする必要はありません。
僕はそんな日は、ろうそくの炎や、自分が「美しいな」と感じるものを静かに眺めることがあります。
ただし、ろうそくは太陽光の代わりとしてビタミンD生成や体内時計への同じ作用があるわけではありません。
ここでの目的は、
光を見ることそのものより、「今ここ」に意識を戻す時間をつくること。
炎の揺れでも、植物でも、絵でも、空でも構いません。
あなたが見たときに、
「なんかいいな」
と身体が少しゆるむものを見つけてみてください。
それもまた、自分を自然な状態へ戻していく時間になると僕は感じています。





コメント