日本人に合った4つの姿勢改善方法|しゃがむ習慣と現代生活から身体を整える

便利すぎる生活は身体を不便にする。

日本人の生活スタイルは、江戸末期から明治以降、大きく変わってきました。

鎖国が終わり、海外からさまざまな思想やテクノロジーが入ってきたことで、それまで日本という島国に根づいていた生活様式も少しずつ変化していきました。

セラピストとして人の身体に触れている中で、僕がその影響を強く感じるもののひとつが姿勢です。

姿勢は、立つ、歩く、座る、しゃがむ、働く、休むなど、日常のほとんどの動作に関係しています。

だからこそ、

現代に多い腰痛や肩・首のこり、関節まわりの不調なども、姿勢だけが原因とは言えませんが、運動量や生活環境、身体の使い方の変化が関係している可能性はあります。

実際、身体活動量の低さや仕事上の身体的ストレスなどは腰痛のリスク要因として挙げられています。

昔の生活には「しゃがむ」日常が存在しました。

でもそれは日本人の暮らしの中から失われたと感じています。



日本人の生活から消えていった「しゃがむ」という姿勢

しゃがむことが当たり前だった昔

昔の日本の生活には、しゃがむことが自然に含まれていました。

たとえば、

  • 畳での生活
  • 和式トイレ
  • ゴザやちゃぶ台
  • 床での家事
  • 畑仕事や田んぼ仕事

などです。

立った姿勢から床に近づき、また立ち上がる。

しゃがんだまま作業する。

床に座る。

こうした動作が日常の中に何度もありました。

一方で、今の生活はどうでしょうか。

現代の生活はしゃがまないような便利な日常になった
  • 洋式トイレ
  • ダイニングテーブルと椅子
  • ソファ
  • デスクワーク中心のオフィス

便利になったことで、床まで身体を下ろす必要がほとんどなくなりました。

つまり、

生活そのものが、しゃがまなくても成立するようになった

とも言えます。

深くしゃがむ動作には、足首、膝、股関節など複数の関節の動きが必要になります。しゃがむ深さと股関節・膝・足首の可動域には関係があることも報告されています。


僕は、しゃがむことを単なる筋トレではなく、

身体が本来持っている動きを失わないための日常動作

として考えています。

目次

現代の「正しい姿勢」が身体を苦しくすることもある

現代では、

  • 「背筋を伸ばしましょう」
  • 「胸を張りましょう」
  • 「骨盤を立てましょう」

という言葉をよく聞きます。

もちろん、それ自体が間違っているわけではありません。

ただ僕は、

全員をひとつの“正しい姿勢”にはめ込もうとすることには違和感があります。

背骨にはもともと自然なカーブがあります。

骨盤の傾きによって腰椎のカーブも変化するため、骨盤を必要以上に前傾・後傾させると身体の感覚も大きく変わります。

だから、

「S字になっているから正しい」

「背中が丸いから悪い」

と単純に決めるのではなく、

添付画像のように、

  • 背中を反らせすぎている
  • 首だけが前に出ている
  • 重心が前へ偏りすぎている

という状態が長く続けば、一部の筋肉や関節に負担が集中する可能性があります。

僕が個別レッスンや施術で見ているのは、

「姿勢が正しいか」よりも、「その姿勢で身体が楽に存在できているか」

という部分です。

スマホによって首だけが前に出る

現代の姿勢に大きく影響しているもののひとつがスマホです。

スマホを見るとき、自然と目線が下がり、頭だけが前に出やすくなります。

いわゆる「スマホ首」「ストレートネック」と呼ばれる姿勢です。

前方頭位と首の痛みには関連が報告されており、姿勢改善を目的とした運動によって前方頭位や首の痛みが改善する可能性も示されています。

ただし、

「首が前に出ている=必ず痛くなる」

というわけではありません。

僕が大切だと思っているのは、

頭が背骨の上に自然に乗る位置を身体で探していくことです。

焦りや仕事の姿勢も、身体に現れる

これは医学的な姿勢分類というより、僕が人の身体を見てきた中で感じていることです。

  • 焦っている人。
  • 常に次の予定を考えている人。
  • 仕事で成果を出さなければいけない人。
  • 時間に追われている人。

こうした人は、身体まで先へ先へ進もうとしているように見えることがあります。

気持ちだけではなく、

重心まで少し前へ移動している。

逆立ちを教えているときにも、同じことをよく感じます。

「早く上がりたい」

「成功させたい」

と思えば思うほど、身体が先に進み、重心が前へ流れてしまう。

だから姿勢改善は、

骨だけを並べ直すものではありません。

僕は、

その人の呼吸や心の状態まで含めて姿勢だ

と考えています。

便利すぎる現代に必要な4つの姿勢改善方法

では、現代の生活の中でどのように身体を整えていけばいいのでしょうか。

僕が普段、自分の身体や逆立ち、そしてセラピストとして人に触れる中で大切にしている方法を紹介します。

1.しゃがむ

僕が最も大切にしていることのひとつが、

股関節を固めないことです。

そのために、しゃがむ動作を日常に戻していきます。

おすすめなのが、雑巾掛け。

雑巾掛けは股関節をゆるませる

子どもの頃を思い出してください。

教室の床をみんなで競争しながら雑巾掛けをしませんでしたか?

僕は平成生まれですが、なぜか雑巾掛けをしていた記憶が強く残っています。

たしか家でもしていたような記憶があります。

雑巾掛けでは、腰を下ろす。しゃがむ。

手を床につく。重心を前へ移動させる。身体全体を使って進む。

という動作を自然に繰り返します。

これは、ただスクワットをするのとは少し違います。

股関節、膝、足首、肩、手など、

僕はこれが姿勢改善の大切な土台になると考えています。

逆立ち研究ラボでも、いきなり逆立ちを練習するのではなく、まず「しゃがむ」「雑巾掛け」といった土づくりから始めています。

姿勢も同じです。

形を直す前に、

その姿勢を生み出している身体そのものを動ける状態にしていく。

それが最初だと思っています。

2. スマホ首を整える方法

首が前に出やすくなる原因はスマホだけではありません。

人によっては、

「二重顎に見られたくない」

「姿勢を良く見せたい」

という意識から、無意識に顎を前へ突き出していることもあります。

武道では、「顎を引く」という言葉がよく使われます。

ただし、顎を力いっぱい引くと、今度は首の前側を緊張させてしまいます。


僕がおすすめしているのは、

まずゆっくり真上を見ること。

そこから、

頭を後ろへ倒すのではなく、

頭頂部が上へ伸びていくような感覚で、ゆっくり目線を正面へ戻します。

最後に顎をほんの少し引く。

首の筋肉で固定するのではなく、

という感覚です。

3. 重心が前に偏りすぎている場合

まず鏡を使って、自分の身体を横から見てみてください。

前へ傾いていませんか?

自分では真っすぐ立っているつもりでも、その姿勢を毎日続けていると、それが本人にとっての「普通」になります。

だから自分では気づきにくいのです。

第三者に見てもらうのも、とても良い方法だと思います。

重心が前へ偏っていると感じた場合は、

まず膝を軽くゆるめてみます。

膝を曲げるというより、ロックを外す。

そして、

身体を少し前へ。

少し後ろへ。

ゆっくり揺らしてみます。

その中で呼吸をしてみてください。

どこにいると呼吸が楽になるでしょうか。

どこにいると頑張らなくても立っていられるでしょうか。

僕は、

「正しい重心」を頭で決めるのではなく、身体に探してもらう

ことを大切にしています。

4. 腰を反らせすぎている場合

腰を強く反らせて、

「胸を張って立つことが良い姿勢」

と思っている人も少なくありません。

そんな人には、骨盤をゆっくり動かすことをおすすめしています。

イメージとしては、

マイケル・ジャクソンが骨盤を前後に動かすような動きです。

骨盤を前傾。後傾。ゆっくり交互に動かしてみます。

骨盤の傾きが変化すると、腰椎のカーブも変化します。 

その中で、

「ここは腰が楽だな」

「ここだと呼吸がしやすいな」

という場所を探してみてください。

大切なのは、

骨盤を真っすぐにすることではありません。

その人にとって、

無理なく立てる位置を見つけることです。

骨盤の位置を変える運動については一定の研究がありますが、「この角度が全員に正しい」というほど強い根拠があるわけではありません。前傾を修正する介入についても、現時点ではエビデンスの確実性は低いとされています。 

痛みがある場合や、自分では判断しにくい場合は、専門家に身体を見てもらいながら行うことをおすすめします。

姿勢改善とは「正しい形になること」ではない

僕は姿勢改善という言葉を、身体を正しい形にはめ込むことだとは思っていません。

姿勢はもっと流動的なものです。

しゃがむ。立つ。歩く。

座る。寝る。手を伸ばす。

そして逆立ちをする。

身体は、本来ずっと動き続けています。

だから、

「この姿勢が正解」ではなく、

自分が一番自由で安心できる姿勢が僕の考える姿勢改善です。

逆立ち研究家として身体を観察していても、

セラピストとして人に触れていても、

最後にたどり着くところは同じです。

身体を無理に正そうとすると、身体は固まる。

反対に、

呼吸し、動き、感じながら、

身体自身が楽な場所を見つけられるようになると、

姿勢は少しずつ変わっていきます。


まとめ|姿勢を正す前に、身体を動ける状態へ

便利な生活そのものが悪いわけではありません。

椅子も、ソファも、スマホも、テクノロジーも、

私たちの暮らしを豊かにしてくれています。

ただ、

便利さによって使わなくなった身体の動きがある。

ということは、一度考えてみてもいいと思います。

しゃがむ。床に座る。

雑巾を掛ける。歩く。

身体を揺らす。呼吸する。

昔の日本人が特別な運動として行っていたのではなく、

生活の中で自然にやっていた身体の使い方。

それを現代の暮らしに少しだけ取り戻してみる。

僕は、それが姿勢改善のひとつの入り口だと考えています。

「背筋を伸ばさなきゃ」

「胸を張らなきゃ」

と頑張る前に、

まず身体を動かしてみてください。

そして、

その声を聞いてみてください。

姿勢は、誰かに与えてもらう正解ではなく、

自分の身体と一緒に見つけていくものだと思います。


力で頑張る逆立ちは、もう卒業。 “力に頼りすぎない逆立ち”で、何歳になっても続けられる身体へ。

日本人の身体に合った「姿勢」を、もう少し深く学びたい方へ

姿勢は、ただ背筋を伸ばすことではありません。

しゃがむ、座る、立つ、歩く。
昔の日本人が日常の中で自然に行っていた身体の使い方には、力に頼りすぎず、身体を楽に使う知恵がたくさん残っています。

「和の姿勢講座 オンラインセミナー」では、
日本人の暮らしや身体の使い方を紐解きながら、現代の生活に取り入れられる姿勢の考え方を約40分の動画でお伝えしています。

こんな方におすすめです。

・姿勢を良くしようとすると疲れてしまう
・肩や腰に力が入りやすい
・身体に負担の少ない立ち方や歩き方を知りたい
・日本人本来の身体の使い方に興味がある
・何歳になっても楽に動ける身体を育てたい

動画なので、ご自身の好きな時間に何度でもご覧いただけます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次