
睡眠、ちゃんと取れていますか?
「布団に入ってもなかなか眠れない」
「夜中に何度も目が覚める」
「寝ているはずなのに、朝起きても疲れている」
施術やカウンセリングをしていると、このような睡眠についての悩みを聞くことが少なくありません。
睡眠は、食欲や性欲と並んで人間の基本的な欲求のひとつです。
そして私たちは、人生のかなり大きな時間を眠って過ごします。
睡眠というと、
「何時間寝ればいいのか」
ばかりに目が向きがちですが、大切なのは時間だけではありません。
身体が安心して眠りに入れる環境ができているか。
僕はここがとても大切だと考えています。
現代の生活を考えてみてください。
- 夜になっても部屋は明るい。
- 手元にはスマートフォンがある。
- 仕事の連絡が届く。
- 動画やSNSを見続けることができる。
- 夏でも冬でも室温を一定に保てる。
つまり現代社会は便利になった一方で、身体にとっては「今が昼なのか、夜なのか」が分かりにくい環境にもなっています。
だからこそ僕は、
「眠ろう」と頑張る前に、「眠れる環境」をつくる。
という考え方が大切なのではないかと思っています。
今回は、施術やカウンセリング、そして自分自身の経験を通して大切だと感じてきたことに、睡眠についての知見も交えながら、質の良い睡眠のために整えたい5つの環境をご紹介します。
1.寝る前はスマホや強い光から少しずつ離れる

まず見直してほしいのが、光です。
僕たちの身体は、時計を見て夜を判断しているわけではありません。
光などの情報を受け取りながら、
「今は活動する時間なのか」
「そろそろ休む時間なのか」
を判断しています。
ところが現代では、夜になっても部屋は明るく、寝る直前までスマートフォンを見ることができます。
だから僕は、寝る1時間くらい前からスマートフォンやテレビとの距離を少しずつつくることをおすすめします。

大切なのは、
「スマホは絶対禁止」
と自分を縛ることではありません。
夜になったら、少しずつ刺激を減らしていく。
それだけでもいいと思います。
- スマートフォンを見る時間を減らす。
- 仕事の連絡を終わらせる。
- SNSを閉じる。
そして身体に、
「今日の活動は、もう終わっていいよ」
と伝えていく。
眠る準備は、布団に入ってから始まるのではありません。
その少し前から始まっています。
2.夜は照明を落として「夜らしい環境」をつくる


スマートフォンだけでなく、部屋そのものの明るさも大切です。
日中は明るく。
夜になったら暗く。
とても当たり前のことですが、現代ではこの境界が曖昧になっています。
夜でも昼間と同じような明るい照明の下で過ごせてしまうからです。
日中はできるだけ日光を浴び、夜間はやや暗い環境でゆったり過ごすことがいいと思います。



夜になったら、天井の強い照明を少し落としてみる。
可能であれば、白く明るい照明よりも、暖色系の落ち着いた照明に変えてみる。
間接照明だけで過ごすのもいいと思います。
僕は睡眠を、
「スイッチを切ること」ではなく、「ゆっくり夕暮れをつくること」
のように考えています。
昼間100%活動していた身体を、いきなり0%にするのは難しい。
100から80へ。
80から50へ。
50から20へ。
そうやって少しずつ刺激を減らしていく。
自然界でも、昼から突然真っ暗になるわけではありません。
夕方になり、少しずつ光が弱くなり、やがて夜になります。
僕たちの身体にも、そんな「夕暮れの時間」が必要なのかもしれません。
3.就寝1〜2時間前のお風呂で、体温のリズムをつくる
眠りと深く関係しているのが、深部体温です。
私たちの深部体温は一定ではありません。
日中の活動時には上がり、夜の睡眠時には下がっていきます。
そして就寝前になると、手足などの末梢の血流が増え、身体の内部にある熱を外へ逃がします。
その結果、深部体温が下がっていき、身体が眠りに入りやすい状態になっていきます。
そこで役立つのが入浴です。


一度お風呂で身体を温める。
すると入浴後、手足から熱を放散しながら深部体温が下がっていきます。



ですから、
「お風呂で温まる → 熱を逃がす → 深部体温が下がる → 眠る」
という流れを意識してみてください。
忙しくて湯船に入れない日もあると思います。
そんな日は無理に「絶対にお風呂に入らなければ」と考える必要はありません。
シャワーを浴びたり、身体をゆるめたりして、自分なりの「活動から休息へ移る儀式」をつくることも大切だと思います。
4.寝室の温度・湿度を整える


「眠れない」というと、つい心の問題ばかりを考えてしまいます。
でも、もっと単純に、
部屋が暑い。
寒い。
蒸している。
ということもあります。
睡眠中は、身体が熱を外へ逃がしながら深部体温を調節しています。
そのため、寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、身体は睡眠よりも体温調節のために働かなければならなくなります。
暑すぎず寒すぎない温度環境を整えることが大切です。
特に日本の夏は、温度だけでなく湿度も高くなります。
必要であればエアコンや除湿機を使い、
「身体が頑張って体温調節しなくてもいい寝室」
をつくってあげてください。
ここでも大切なのは、何℃、何%という数字だけを絶対視しないことです。
人によって快適さは違います。
寝具やパジャマも違います。
季節も違います。
だから、
「この数字が正解」
ではなく、
朝まで暑さや寒さで目覚めずに眠れているか。
という自分の身体の反応を観察してみてください。
5.光と音を減らし、身体が警戒しなくていい寝室をつくる


最後は、光と音です。
僕たちは寝ている間、完全に外界との接続を切っているわけではありません。
寝室に光が入っていたり、突然大きな音がしたりすれば、それが睡眠を妨げることがあります。
カーテンを閉めても街灯が入ってくる。
早朝から外が明るい。
そんな環境なら、アイマスクを試してみるのも一つです。
僕自身は、肌への刺激が少ないシルク製のアイマスクが気に入っています。
また、車や電車、近隣の生活音などが気になる環境では、耳栓が役立つ場合もあります。
大切なのは、
身体が外の世界を警戒し続けなくてもいい環境をつくること。
眠るという行為は、とても無防備な行為です。
だからこそ、身体が「ここなら眠っても大丈夫」と感じられる環境をつくることが大切なのだと思います。
「眠ろう」と頑張るほど、眠れなくなることがある
ここまで5つ紹介してきましたが、僕が一番伝えたいのはここです。
眠れないと、
「早く寝なきゃ」
「明日も仕事なのに」
「あと5時間しか眠れない」
「なんで眠れないんだろう」
と焦ってしまいます。
でも、
「眠らなければならない」という焦りそのものが、身体にとって新しい緊張になることがあります。
これは、僕が普段お伝えしている「脱力」ともよく似ています。
「力を抜こう、力を抜こう」
と頑張るほど、身体はかえって固くなることがあります。
眠りも同じです。
眠ることそのものを頑張るのではなく、眠れる条件を整える。
あとは身体に任せる。
僕はこの考え方がとても大切だと思っています。
ベッドを「眠れない場所」にしない
もう一つ大切なのが、
起きている時間と眠っている時間にメリハリをつけることです。
日中は光を浴びて活動する。
夜になったら刺激を減らす。
眠くなったら寝床へ向かう。
そして、眠れないままベッドでスマートフォンを何時間も見ることを習慣にしない。
ベッドは、
- 仕事をする場所でも、
- SNSを見る場所でも、
- 悩み続ける場所でもなく、
身体を休ませる場所。
そんなふうに身体に覚えてもらうことも大切です。
昼寝についても、「絶対にしてはいけない」とする必要はありません。
ただ、長時間の昼寝や夕方以降の眠りによって夜の睡眠が崩れているなら、一度見直してみる価値はあります。
まずは「眠れる身体」に戻していく
現代人の身体は、朝から晩までたくさんの刺激を受けています。
スマートフォン。
仕事。
SNS。
強い照明。
人間関係。
絶え間なく入ってくる情報。
そんな状態で、夜になった瞬間、
「はい、今からリラックスしてください」
と言われても、身体は簡単には切り替わりません。
だからこそ、無理やり身体を眠らせようとするのではなく、
- 光を落とす。
- スマートフォンを置く。
- 身体を温める。
- 部屋を快適にする。
- 静かな環境をつくる。
そうやって一つずつ、
身体が安心して眠れる条件を取り戻していく。
身体には、本来眠る力があります。
僕たちがすることは、身体を無理やり眠らせることではなく、
その力を邪魔しているものを、少しずつ減らしてあげることなのかもしれません。
まずは今夜、一つだけでも試してみてください。
睡眠について一人で悩んでいる方へ
「いろいろ試しているけれど眠れない」
「身体がいつも緊張している感じがする」
「自分の場合、何を見直したらいいのか分からない」
そんな方には、個別のカウンセリングや施術も行っています。
僕は「これをすれば絶対に眠れる」という方法を押しつけるのではなく、その方の生活や身体の状態をお聞きしながら、なぜ身体が休めない状態になっているのかを一緒に見ていくことを大切にしています。
BONUS|睡眠についてもっと知りたい方におすすめの本
『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治
スタンフォード大学で長年睡眠研究に携わってきた西野精治氏による一冊です。睡眠と体温、覚醒、最初の90分などについて、睡眠科学の視点から知ることができます。
『不眠症の治し方と睡眠薬の安全なやめ方』原 祥平
不眠改善110番という睡眠薬から脱したい方に特化した原さんの経験が詰まったとても興味深い実践的な本です。






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