
日本は、海外で長く過ごしたあとに帰ってくると、「こんなにも安心して歩ける国だったのか」と改めて感じることがあります。
私はこれまで、アメリカやアフリカ、東南アジアなど、さまざまな地域で暮らしたり旅をしたりしてきました。
日本では、電車の中でスマートフォンを手に持ったままうとうとしている人がいたり、カフェで荷物を置いて席を立つ人がいたりします。
それほど、日常の中で「盗まれるかもしれない」という意識を持たずに生活できる環境に慣れているのだと思います。
しかし、その感覚をそのまま海外へ持っていくと、思わぬトラブルに遭うことがあります。
外務省も、海外の路上や観光地では、日本人をターゲットにしたスリや置き引きが各地で発生しているとして注意を呼びかけています。
もちろん、海外=危険ということではありません。
大切なのは、怖がることではなく、
「自分はいま、日本とは違う環境にいる」
ということを理解することです。
特にはじめて海外旅行をする方は、日本で身についた行動がそのまま出やすいものです。
この記事では、私自身が海外で長く過ごす中で自然と身についた、スリや盗難から身を守るための5つの習慣を紹介します。
はじめての海外旅行で気をつけるべき5つのこと
1.財布は二つに分けておく

海外では、私は財布を2つに分けるようにしています。
一つは、普段使う財布。
もう一つは、絶対になくしたくないものを入れておくための財布です。
現地に到着したら、安い財布を買うこともあります。
そこには、
- その日に使う程度の現地通貨
- デビットカードやプリペイドカード
- 必要最低限のもの
だけを入れます。
一方、大きな現金や予備のカードなどは別に管理します。
人混みでは、誰かが話しかけたり身体をぶつけたりして注意をそらし、その隙に別の人が財布を抜き取るような手口もあります。
そのため、
「財布を盗まれないようにする」だけではなく、「一つ盗まれても旅を続けられる状態にしておく」
という考え方が大切です。
財布そのものも、高価なブランド物より、目立たないものを私は好んで使っています。

海外では「持っているものを見せない」ということも、一つの防犯になります。
2.大切な貴重品は服の下に入るポーチへ


私は海外を歩くとき、身体にストラップできる薄いポーチをよく使います。
いわゆるセキュリティポーチやパスポートポーチと呼ばれるものです。
服の下に隠れるので、外から見てもほとんど分かりません。
そこに、
- パスポート
- 予備のクレジットカード
- 多めの現金
- その他、絶対になくしたくないもの
などを入れます。
ただし、パスポートについては注意が必要です。
服の下にあるポーチは、外から場所が分かりにくく、簡単に手を入れることもできません。
私自身、海外を旅してきた中では、かなり安心感のある方法だと感じています。
ただし、大切なのは「ここなら絶対安全」と思わないこと。
防犯は、一つの方法に頼るのではなく、いくつかの方法を重ねることで強くなります。
3.スマホは深いポケットに入れ、人混みでは手を添える
今は世界中どこへ行っても、スマートフォンを見ながら歩いている人を見かけます。
だから、
「現地の人もスマホを出しているから大丈夫だろう」
と思ってしまうかもしれません。
でも、旅行者と現地で暮らしている人では、土地勘も周囲への注意の向け方も違います。
私は、人混みではできるだけスマホを出しっぱなしにしません。
使う必要があるときは、一度立ち止まる。
できれば背後を壁にする。
地図を見るのであれば、人の流れから少し外れた場所で確認する。
そして移動するときは、深いポケットにしまいます。
私はよく、
左のポケットに普段使いの財布。
右のポケットにスマートフォン。
というように、入れる場所を決めています。
さらに混雑した場所では、ポケットの中に手を入れてスマホを軽く押さえていました。
いつも同じ場所に同じものを入れておくと、
「あれ、いつもと重さが違う」
という小さな変化にも気づきやすくなります。



防犯とは、ずっと緊張していることではありません。
自分の持ち物が、いま身体のどこにあるのかを感じていること。
それだけでも大きく違います。
4.ホテルの金庫も「絶対安全」とは思わない


ホテルの部屋に金庫があると、
「ここに入れておけば大丈夫」
と思いたくなります。
基本的には、貴重品を部屋の目につく場所へ放置するより、ホテルのセーフティーボックスなどを利用する方が安全です。
ただし、それも100%安全という意味ではありません。
ホテルそのものの管理体制に不安を感じる場合は、セーフティーボックスを過信せず、自分で管理した方がいいかもしれません。
私はホテルに入ったとき、
- フロントの雰囲気。
- スタッフの対応。
- 部屋の施錠。
- 周囲の環境。
- 金庫の状態。
そうしたものを一度見ます。
有名なホテルだから絶対安全。
安いホテルだから絶対危険。
という単純な話ではありません。
自分がいまいる場所を観察して、その環境に合わせて管理方法を変える。
これが大切だと思っています。
そして、パスポートをホテルへ置いていくかどうかについても、渡航先の法律を先に確認してください。
国によってはパスポートの常時携行を求められる場合があります。
5.現地の人の服装や行動を観察して、目立ちすぎない
海外へ行くと、嬉しくなります。
見たことのない建物。
知らない匂い。
聞いたことのない言葉。
すべてが新鮮です。
すると自然と声も大きくなったり、あちこち写真を撮ったり、スマートフォンをずっと手に持ったりします。
旅行なので、もちろん楽しんでいいのです。
ただ、
「私はこの土地をよく知らない旅行者です」
と必要以上に周囲へ知らせる行動は、少し控えてもいいと思っています。
私は海外に長く滞在するとき、その地域で普通に売られている服を買って着ることがあります。
もちろん、外国人なので完全に現地の人になることはできません。
それでも、
- 現地の人はどんな服を着ているのか。
- バッグをどう持っているのか。
- どこでスマートフォンを出しているのか。
- 夜になると人通りはどう変わるのか。
そういうものを観察します。
一眼レフなどのカメラも、使わないときはケースやバッグにしまっておく。
スマートフォンも必要なときだけ出す。
大きな声で話しながら無防備に歩かない。
ほんの少し落ち着くだけです。
旅行中は気分が高まっているので、普段ならしないような行動をしてしまうことがあります。
だからこそ、ときどき周囲を見る。
それだけでも防犯になります。
郷に入っては郷に従え
海外を旅していて、私はこの日本の言葉を何度も思い出しました。
「郷に入っては郷に従え」
海外旅行で安全に過ごすために、一番大切なのは、高価な防犯グッズをたくさん持っていくことではないのかもしれません。
その土地を観察することです。
人を見ることです。
街の空気を見ることです。
日本では当たり前だった行動が、その土地では当たり前ではないことがあります。
反対に、
「危険そう」
と思っていた国でも、現地の人たちと同じように暮らしてみると、とても穏やかで優しい場所だったりします。
海外だから怖がる必要はありません。
でも、日本と同じ感覚のまま歩く必要もありません。
その土地に入ったら、一度、自分の常識を横に置いてみる。
少し観察していると、その土地の流れが見えてきます。
身体も同じです。
力を入れて周囲を警戒し続けるより、
周りを感じながら、その場所に合わせて自分を変えていく。
知らない土地を歩くということは、
もしかすると、自分の常識から一度離れて、
世界の見方を少し広げることなのかもしれません。
怖がりすぎず。
油断もしすぎず。
その土地の流れを感じながら、旅を楽しんでみてください。


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