
私はこれまで、本当にすごい人生を歩んできた師匠たちに囲まれて生きてきました。
それぞれ違う分野で活動されていますが、その中でも、私がとても信頼している歯科医の先生がいます。
私の中では、勝手に「神歯科医」と呼びたくなるような方です。
その先生が面白いのは、歯を単体で見ていないこと。
歯だけを見るのではなく、
歯も身体につながっている生命体の一部
として見ています。
ある時、その先生から、
「病気の原因を辿っていくと、食いしばりが大きく関係していることが本当に多い」
という話を聞きました。
先生独自の臨床的な見立ても含まれていますが、私はこの話を聞いた時、目から鱗でした。
私たちは虫歯や歯周病には気をつけます。
しかし、
「普段、上下の歯が触れていないか?」
「無意識に顎へ力を入れていないか?」
ということについては、それほど意識していないのではないでしょうか。
実際、何もしていない安静時には、上下の歯は接触していないのが自然な状態とされています。
それでも、仕事に集中している時やスマートフォンを見ている時、ストレスを感じている時など、知らないうちに歯を接触させたり、食いしばったりすることがあります。
この記事では、私自身がセラピストとして身体を見てきた経験と、信頼している歯科医の先生から教えてもらったことをもとに、
食いしばりについての考え方と、自宅で簡単にできる3つのセルフケア
をご紹介します。
食いしばりが起きる原因
まず最初にお伝えしておきたいのは、食いしばりや歯ぎしりの原因は一つではないということです。
ストレスや生活習慣など、さまざまな要因が関係すると考えられています。
そのうえで、セラピストとして身体に触れてきた私自身の経験から感じていることがあります。
それは、
食いしばりの背景には「緊張」があることが多い
ということです。
これは肩こりや首こり、腰のこわばりなどとも、どこか似ています。
ここで一つ質問です。
皆さんが意識的に歯を食いしばるのは、どんな時でしょうか。
たとえば、
- 痛みに耐えている時
- 頑張っている時
- 踏ん張っている時
- 力づくで何かをしようとしている時
- 感情的になっている時
- 苦しい時
こうした場面では、自然と歯を食いしばることがあります。
では、これらに共通しているものは何でしょうか。
私は、
「無理をしている」
ということだと思っています。
人生そのものに無理をしているのかもしれません。
身体に無理をさせているのかもしれません。
仕事なのかもしれない。
あるいは、人間関係なのかもしれない。
重いものを持ち上げるような、一時的な身体への負荷かもしれません。
もちろん、すべての食いしばりを「無理」だけで説明することはできません。
ただ、身体が必要以上に緊張している時、
「もしかしたら今、何かに無理をしていないだろうか?」
と自分自身に問いかけてみることには、とても意味があると思っています。
無理をすると、身体は緊張します。
なぜなら私たち自身も、自然の一部だからです。
自然には流れがあります。

反対に流れに逆らい続けている時、身体のどこかに力が入りやすくなると感じています。
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では、食いしばりを改善するにはどうしたらいいのでしょうか。
根本的には、
自分がどこで緊張しているのかに気づくこと。
これがとても大切だと思っています。
ただ、
「緊張を減らしましょう」
と言われても、
「具体的に何をすればいいの?」
となりますよね。
生活を見直す必要がある人もいます。
人間関係を見直す必要がある人もいます。
仕事との付き合い方を変える必要がある人もいます。
自分自身の考え方を見直す必要がある人もいます。
そして、それには時間がかかります。
そこで今回は、もっと直接的に口や顎へ働きかける、簡単な方法を3つ紹介します。
食いしばりを改善するためにできる3つの方法
1.ほっぺたを膨らませる


一つ目は、とても簡単です。
口の中に空気を入れて、ほっぺたを膨らませます。
ほっぺたを膨らませると、普段あまり伸ばされることのない口の中の粘膜や頬周辺が内側から広げられます。
私が先生から教えてもらったのは、
口の中から周辺組織をゆっくり伸ばしてあげる
という考え方です。


これは、私が普段行っているタイ古式マッサージなどのストレッチとも、どこか似ています。
縮こまっていた場所を、無理のない範囲でゆっくり伸ばしていく。
すると、
「あ、こんなところにも力が入っていたんだ」
と気づくことがあります。
ポイントは、思い切り空気を入れることではありません。
左右、上、下へ少しずつ空気を移動させながら、
口の中を内側からやさしく広げる
くらいの感覚で十分です。
痛みが出るほど行う必要はありません。
気持ちよく伸びている範囲で行ってみてください。
2.下顎を前に出してから開く
二つ目は、
下顎をゆっくり動かすこと
です。
下顎は、頭蓋骨と顎関節でつながり、周囲の筋肉などによって動かされています。
食いしばりなどによって顎周辺の筋肉に負担が続くと、顎周辺に疲れやこわばりを感じることがあります。
そこで行うのが、
下顎を少し前に出してから、ゆっくり口を開く
という動きです。


ただ真下へ大きく口を開こうとするのではなく、
まず下顎を軽く前へ。
そこから無理のない範囲で、ゆっくり口を開いていきます。
すると、普段とは少し違う場所が伸びているのを感じるかもしれません。
これも、強く伸ばす必要はありません。
「あ、ここが伸びているな」
くらいで十分です。
仕事の合間やお風呂に入っている時など、日常の中で気づいた時にやってみてください。
ただし、顎関節に痛みがある方、口を開けると強く音が鳴る方、顎が開きにくい方などは、無理に行わず歯科医などへ相談してください。
3.舌を口の天井につける


三つ目は、
舌の位置を意識すること
です。
何もしていない時、
皆さんの上下の歯はくっついているでしょうか。
実は安静時には、唇が閉じていても上下の歯は少し離れているのが自然な状態です。
そこで私自身が意識しているのが、舌の位置です。
舌先を上の前歯に強く押しつけるのではなく、
上の前歯の少し後ろあたりから、舌を口蓋へ軽く添える
ようにします。
そして、
上下の歯を離します。
実際にやってみると分かりますが、
舌の位置を意識すると、
「今までずっと歯と歯を触れさせていた」
ということに初めて気づく人もいるかもしれません。
大切なのは、
舌を頑張って押しつけることではありません。
それでは、また新しい緊張を作ってしまいます。
舌も顎も頑張らない。
ただ、
「歯と歯が離れているかな?」
と時々確認する。
それくらいで十分です。
スマートフォンやパソコンを使っている時など、集中している時ほど顎に力が入ることがあります。
気づいた時に、
「歯を離す」
という習慣を作ってみてください。
食いしばりは、自分の「無理」に気づくサインかもしれない
食いしばりについて考えていると、私はいつも歯だけの問題ではないように感じます。
なぜ、今ここに力が入っているのだろう。
なぜ、顎を固めているのだろう。
なぜ、身体は踏ん張ろうとしているのだろう。
身体は、とても正直です。
頭では、
- 「大丈夫」
- 「まだ頑張れる」
- 「これくらい普通」
と思っていても、
身体はすでに、
「少し無理をしているよ」
と教えてくれていることがあります。
食いしばりも、その一つなのかもしれません。
だから私は、
「食いしばりをなくさなければ」
と必死になるより、
まず、
食いしばっている自分に気づくこと
が大切だと思っています。
顎をゆるめる。
歯を離す。
呼吸をする。
少し休む。
そして、
「今、自分は何に力を入れているんだろう?」
と身体に聞いてみる。
身体を変えることは、生活を変えることとつながっています。
逆に、生活が変わると、身体も少しずつ変わっていきます。
食いしばりを入り口に、
自分の身体との付き合い方を見直してみる。
それだけでも、今まで気づかなかった自分自身の緊張に気づくきっかけになるかもしれません。
今回紹介した3つの方法も、
「治さなければ」
と頑張って行うのではなく、
身体をゆるめる小さな習慣
として取り入れてみてください。





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